子どもと親権第2話:行方不明という現実

鍵を見つけた夕方のこと


出張から帰ってきた日の夕方、玄関の前で足が止まりました。
ドアの前の地面に、家の鍵が置かれていたからです。

今まで一度もそんなことはなかったので、瞬間的に血の気が引くような感覚になりました。
何かがおかしい。
そう思いながら、すぐに鍵を拾って玄関を開け、家の中に入りました。

嫌な予感は、すぐに現実になりました。
家の中に、妻と子どもの姿はどこにもありませんでした。
妻の携帯電話に何度か、かけてみましたが、まったくつながりません。
置き手紙も、メモの一枚さえ残されていませんでした。


しばらくすると、同居していた僕の母が外出から戻ってきました。
母も、妻と子どもがどこへ行ったのか、何も知りませんでした。

夜になっても、妻と子どもは帰ってきません。
不安に耐えきれず、妻の仲の良い友人たちに電話をしましたが、誰も行き先を知りませんでした。

『出て行ってしまったのかもしれない』
『それとも、何か事件に巻き込まれたのか』

頭の中で最悪のパターンばかりが浮かびましたが、答えは一つも出てきません。
何も分からないまま、その夜は一睡もできずに朝を迎えました。

お盆休みの捜索と警察への届け出


ちょうどその翌日からは、夏のお盆休みに入っていました。
朝になるとすぐに自転車に乗って、思い当たる場所を片っ端から回りました。
妻が好きだった場所、よく子どもと一緒に行っていた場所、友人の家の近く…。
とにかく何か手がかりが欲しくて、いろいろなところを自分の目で確かめて回りました。

そんな中、妻の友人から、心配して僕の携帯電話に連絡をくれる人もいました。
みんなで心当たりを探してくれましたが、それでも行き先の手がかりは何も見つかりませんでした。

最終的に、僕は警察に行き、行方不明者届と捜索願を出しました。
けれど、警察からは『今のところ事件性がないので、こちらから積極的に動くのは難しいです』と言われました。

それから、眠れない日が続きました。
翌日には、妻のパート先にも足を運び、『仕事に来ていないか』を確認しましたが、『来ていません』とだけ告げられました。

行方不明になってからの一週間


その日から、僕は毎日のように自転車で妻と子どもを探し回りました。
思い当たる場所を一つずつ回ってみましたが、どこにも二人の姿はありませんでした。

妻の実家にも足を運び、義父に『何か知っていませんか』と聞きましたが、『知らない』と言われただけでした。

連休が終わり、仕事が始まってからも、正直、仕事どころではありませんでした。
会社には事情を話して休みをもらい、僕は毎日のように二人の行方を探しました。

子供が通っていた幼稚園にも行き、『登園していませんか』と聞きましたが、『来ていません』と言われました。
幼稚園に行くのが嬉しくて、毎日楽しみにしていた子どもが、その大好きな場所に行けていない。
そう思うと、胸が締めつけられて、自然と涙がこぼれました。

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子どもと親権 第1話:妻と子どもがいなくなった日

子どもと親権第4話:絶望的な思い

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